システム信頼性を担うエンジニアの使命 ── SREの仕事とは?
株式会社エウレカ(以下: エウレカ)は、恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営する企業です。その中で、サービスの信頼性を維持しながらペアーズの成長と進化を支えるのが SRE (Site Reliability Engineer) & Data Platform チーム。今回は、現在SREチームでManagerとして活躍するOgadyさんと、SRE & Data Platformチームが所属するPlatform DivisionをSr. ManagerとしてリードしているMasashiさんに、SREチームの取り組みや日々の業務、エウレカならではの魅力について伺いました。
写真:左Masashiさん、右Ogadyさん
👉 Masashiさん:2016年にエウレカに入社し、現在は、Sr. Manager, PlatformとしてSRE & Data Platform とUnder the Hood (UTH)の2チームを管轄 (Github)
👉 Ogadyさん:2021年にエウレカに入社し、現在は、SRE & Data PlatformチームのManager (Github)
Ogadyさん:ペアーズサイトやサービスの信頼性をマネージメントして、高めていくというのがSREチームとしての役割ですね。また同時に、サービスの信頼性と開発速度の両立を目標にしています。例えば、意図しない不具合が入り込むと、サービスに重大な影響を及ぼす可能性があります。ただ、レビューのフローやリリース承認フローを厳格にしすぎると、システム開発におけるアジリティが損なわれてしまいます。そこでSREチームでは、開発のアジリティを極力損なわずに、サービスの信頼性を高められるような仕組みを構築しています。具体的には、インフラの設計やテストの導入、リリースエンジニアリング、適切な監視体制を構築し、安定した開発・運用環境の実現を支援しています。
また、チームとしてはSREに加え、Data Platformとしての役割も担っているため、データと分析基盤の構築と運用を行っています。SREと同様に、分析基盤の信頼性を高めつつ、アジリティが高いまま運用できるような仕組みを作るという点に責任を持って業務をしています。
Masashiさん:エウレカのSREチームはサービス信頼性の向上を目指す観点で、インフラの設計から構築運用に加え、実際に動作するアプリケーションレイヤーやアプリケーションコードの問題点の抽出や改善を行うことがあります。また、単純にツールやプラクティスを提案するだけでなく、常に課題提起と解決案を現場と協議し、どのようにチームの運用に組み込んでいくか検討する活動も行っています。自分達の領域に閉じず、最終的にサービス全体の信頼性向上に繋がる様々な働きかけをリードする役割を担っています。
Masashiさん:SREチームとUTH (Under the Hood) チームが所属するPlatform Divisionの管轄をしています。Platform Divisionは、Product開発チームが利用者への価値提供に集中できる環境の実現をテーマに掲げています。プロダクトと組織が成長すればするほど、様々な責任や複雑性が増えて、快適に素早く開発し続けることが簡単ではなくなります。そのような成長に対応しつつも、法令を遵守した強固な体制づくりや責任、複雑性の拡大をどのように解決していくかについて戦略を練るロールを担っています。
Ogadyさん:今年の3月からSREチームのManagerとして、チームをリードしています。ペアーズのインフラ基盤の運用はチームとして知見が溜まってきており、組織としての成熟を感じています。一方でData Platform領域は成長の余地がまだあると感じており、日々の強化に努めています。
Ogadyさん:SREチームはすごく風通しが良いですし、助けあうカルチャーが根付いています。毎日正午前にチームの朝会を行っていて、そこでは皆が気軽に悩み事や困りごとを相談しています。ペアプログラミングやモブプログラミングもメンバー同士が自然と声掛けあって、自発的に開催しています。新しい技術に対して興味関心が強く、尚且つキャッチアップが得意なメンバーが多いので、新しい技術を使ったプロジェクトにも複数のメンバーが積極的に参加しています。
Masashiさん:サービスの信頼性に対してチーム全体が強いオーナーシップを持っている事が特徴です。このチームが最前線となって信頼性や生産性を高める責務を担っているため、自分達で課題や弱み・機会を常に分析して戦略を策定、ブラッシュアップしています。取り組みの一例としては、SREチームでロードマップに必要なアイテムをチームメンバー全員が起票できるようにしています。そして、起票したアイテムについて、実施して得られる価値や方法の妥当性、優先順位など議論を全員で行う事で、チーム全員がフォーカスするべき方向性を共有するようにしています。
Ogadyさん:自分達の作ったPlatformを使うユーザーが社内で一緒に働いているエンジニアなので、身近な人から早くフィードバックがもらえるという点に面白みを感じています。直近だと、Progressive Deliveryの事例が印象に残っています。アプリケーションを新しいバージョンにアップデートする際に今までのバージョンをそのまま置き換えてしまうと、新しいバージョンにバグがあった時に全てのペアーズユーザーが影響を受けてしまいます。そこで、リリース時にユーザーが適切に利用できているか自動で判定しながら、段階的に切り替えていく手法を取り入れました。仮にユーザーが適切に利用できていないと判断された場合は、即座に自動的に前の状態にロールバックします。この手法の導入により、リリース時に不具合があった際のユーザーへの影響を最小限に減らすことができたうえ、リリースを行うエンジニアの心理的負担の軽減と、開発効率の向上に繋がりました。
Masashiさん:自分達が業務で取り組んだ結果として、社内が便利になった、サービスが良くなったという実感を持てることが、一番の面白味だと思います。利用者と直接やり取りする部門ではありませんが、メトリクスを通した実測値を通じて、サービス性能の改善や信頼性の向上を感じられた時はとても嬉しいですね。ペアーズは12年の歴史を持ち、多くの利用者を持つサービスなので、様々な新しい課題と挑戦を私達に与えてくれます。サービスが成長を続ける度に新しいチャレンジと向き合うことになりますし、サービスの信頼性のオーナーという強い責任はプレッシャーを感じたり大変に感じる事もあります。ただ、だからこそ自分の成長にも繋がる新しいチャレンジを続けられる所が魅力だなと思います。

Ogadyさん:SREチームでは毎週1時間、技術共有会を開催しています。元々は自分達が関わっていたプロジェクトで導入した技術をシェアする場として始めました。ただ、次第に業務に留まらず、自分が使っているクラウドインフラサービスのアップグレードの共有や、面白い記事の共有、書籍を全員で読んで議論する場になりました。この会を通じて、チーム全体で技術面の知識を底上げ出来ていると感じます。
Masashiさん:SREに関連する大きなカンファレンスがいくつかあるのですが、その内容をチームメンバー全員で一通り見て、エウレカだとどこに活かせそうか話し合い、チケット起票しています。SREチームとしては新しい技術を積極的に導入していくカルチャーですね。新しい技術の導入はサービスやオペレーションの改善に繋がる可能性のある一方で、うまく活用できず悪影響を生む可能性もあるという判断の難しさがあります。
とはいえ慎重になるだけでは機会を失いますし、技術的にも硬直してしまうので、フットワーク良く取り組めるように、まずは影響範囲が小さい領域でスモールスタートの導入・検証を実行し、成功すれば本導入するステップを踏むようにしています。現在使用しているKubernetesも最初はスモールスタートで導入して、今では全てのアプリの基盤になっています。
Masashiさん:SREチーム全体として外部のカンファレンスへのスポンサー、登壇、記事の寄稿などについて積極的に取り組んでますね。チーム外との交流も盛んなので、他のチームと一緒にイベントを行ったり、参加する事もあります。具体的には2023年に、エウレカがゴールドスポンサーとしてISUCON※に協賛。様々なチームのメンバーが混ざって複数のチームを構成して出場しました。
※LINEヤフー株式会社が運営窓口となって開催している、お題となるWebサービスを決められたレギュレーションの中で限界まで高速化を図るチューニングバトル
Ogadyさん:チームメンバーもカンファレンスの運営者としての経験があるメンバーが複数います。加えてイベント登壇や記事の寄稿に対しては自発的に取り組んでいますね。最近だとSRE Magazineには継続的に寄稿しています。
10:30 リモートで始業
10:30 - 11:45 他チームからの依頼確認、返信など
11:45 - 12:00 朝会(アラート確認など含む)
12:00 - 13:00 依頼作業 + アラート調査
13:00 - 14:00 昼休み
14:00 - 17:00 アサインされているタスクの設計、実装
17:00 - 17:30 SREチーム インフラコスト確認会
17:30 - 20:00 アサインされているタスクの設計、実装
20:00 終業

左からMasashiさん、Ogadyさん、CTOのKaneshinさん
Ogadyさん:SREチームとしては、Data Platform領域のさらなる改善に取り組むとともに、最終的なプロダクト品質を高めるため、障害のメトリクス可視化/分析や、インシデントマネジメントの領域をより強化していきたいと考えています。個人としては、Managerとして自分の見つけた課題を今まで以上にチーム全体で取り組めるような方針を示すという点に注力していきたいです。さらに、AIやLLMの活用についてもエウレカではAIチームと連携しながら、いくつかの取り組みを進めています。今後は、AIやLLMを活用した開発生産性の向上に向けたプロジェクトを本格的に推進していく予定です。
Masashiさん:SRE & Data Platformチームという領域では、データ品質やガバナンスという形でのデータ管理領域にはまだ伸びしろがあると感じているので強化していきたいですね。Ogadyさんも言っていますが、AI AgentやLLMの活用に向けての環境整備は2025年はかなり重要だと思っているので相応のリソースを投下したいと考えています。
Ogadyさん:他チームの開発、運用を積極的にキャッチアップし、そこにポジティブな影響を与えられることに面白さを感じられる方が、SREチームにはフィットすると思います。既存の仕組みをより良い方向へと進化させていく役割をSREチームが担っているため、自信を持ってその改善活動に取り組める姿勢が求められます。また、あらかじめ明確に定義された課題に取り組むだけではなく、自分で課題を見つけて、解決策を考えて、他チームを巻き込みながら実行していくことを楽しめる人には合っている環境だと思います。
Masashiさん:他には、いろんな人とコミュニケーションを取ることが楽しめる人ですね。特に開発生産性や信頼性を守る取り組みは、実際に開発している他のチームと伴走してやり方や仕組みを柔軟に変える必要があります。相手のニーズを適切に汲み取って、ポジティブに伝えられるコミュニケーション力は、活躍する要素として非常に重要だと考えています。
Ogadyさん:我々のチームは、SRE & Data Platformの領域でやりたいことが明確にある人にとって最高の環境だと思います。大規模なBtoCトラフィックに流されたい!データ量に溺れたい!Developerをハッピーにしたい!というモチベーションがある方、ぜひ一緒に働きましょう。
Masashiさん:エウレカのSREチームは、チームの内外を問わず、技術とサービスに対する強い情熱をもったメンバーが揃っているので、大いなる挑戦を楽しみながら責任と向き合える良い環境だと思っています!興味を持ってくださった方は、ぜひ一度お話ししましょう。
エウレカでは一緒にペアーズの成長を盛り上げてくれる新たなメンバーを募集しています。カジュアル面談からも大歓迎です。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひエントリーください。たくさんのご応募をお待ちしております!
👉 Pairs Engineering ブログ
👉 LinkedInでLife at Pairsをフォロー
MasashiさんのSRE NEXT 2022登壇時の資料と動画
SRE Magazineへの寄稿記事:
データ分析基盤の運用にSREのプラクティスを取り入れる
ペアーズで実践している、オーナー不在のサービスを引き受ける際の心得
ペアーズのバッチ実行基盤の品質を定義して改善を続けている話
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